週刊ハーツ

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2022.12.17

12月17日 ブレット王国戦 7-6

2022年12月17日(土)13:00~15:00
猿江恩賜公園2面(ビジター)
フリーマッチ
【ブレット王国 vs 南海ハーツ】

B 002 400 (1x)  6(7)
H 100 231         7

投:矢野〔勝〕
捕:菊池

本塁打:なし
三塁打:なし
二塁打:矢野(ハ)、7番打者(ブ)

 1 (中)久原【24】
 2 (三)土屋【13】
 3 (投)矢野【32】
 4 (一)筒井【18】
 5 (遊)横井【 6 】
 6 (左) 森  【 0 】→太田【16】
 7 (捕)菊池【 8 】
 8 (二)兵藤【23】
 9 (右)宮本【19】
10(指)藤本【 5 】
11(指)辻本【37】

★ハーツ表彰★
殊勲賞=兵藤(値千金、拮抗した試合の勝負を決めるライト前タイムリー!)
殊勲賞=矢野(同点3点二塁打に、完投勝利。さすが二刀流、2022年度MVP!)
敢闘賞=菊池(勝ち越しホームインを生んだ、果敢な走塁)
敢闘賞=横井(持ち味のセンター前ヒットと、ホーム突入)
技能賞=久原(選球眼に磨きをかけ3四球全出塁に、3得点、2盗塁)
技能賞=太田(恒例の登場時間で、いぶし銀の進塁打)
守備賞=森(名外野手が、腰を痛める負傷を恐れず、レフト線フライを好捕)
守備賞=矢野(投邪飛を勢いの良いダッシュでファインプレー)
山山賞=辻本(相手投手の好守でゲッツーを献上するも、それを補って余りある宴会部長の働き)

試合動画

 前週で2022年度のシーズンを終え(記録集計の関係上)、2023年度開幕戦扱いで迎えた、初対戦のブレット王国戦。若いメンバーの多い相手に対し、南海ハーツはベテラン、中堅、若手(最年長含む)のバランスで勝負を挑んだ。

 ハーツの先発は、今年、投打二刀流で文句なしのチームMVP(64ポイント獲得:2位の倍以上)に輝いた、矢野投手〔中〕。この日は欠席となったが、パワーピッチャーの小西とともに、二人が多くの試合に登板し、若手同士、切磋琢磨の投球で、矢野8勝(最多勝)、小西6勝と双璧の成績でチームを支えた。もう一人、高松投手の存在も大きく、自身今季最後の登板で規定投球回数に達するなど、持っている男はやはり一味違う。コントロールの良さとマウンド度胸はチーム随一で、今年の南海ハーツ流行語大賞「低めホワン」(綿貫語録)が示すとおり、緩急織り交ぜた投球術で、三本柱として君臨する。
 今季の筒井監督は可能性のある選手にはどんどんマウンドを経験させる方針で、三人以外では、宮本投手、兵藤投手、土屋投手、菊池投手も登板した。この中から一人でも出てきてくれると、来季の投手陣に厚みも増す。

 1回裏、ハーツは久原〔左〕が四球選ぶと、土屋〔中〕がライトへうまく運び、一死二三塁。ここで4番・筒井〔右〕がセンターへ強烈な打球で犠牲フライ。今季、打撃に苦しんだ筒井だが、シーズン終盤には常に良い当たりを見せていて、フルスイングの貫録は“四番”に相応しく、来年につながる一打となった。

 3回表、ブレット王国はワイルドピッチで同点とすると、二死一三塁で6番打者〔中〕の放ったゴロが、投三遊のちょうど間に転がり、左打者の利と俊足で内野安打に。2-1と逆転する。勢いに乗ったブレット王国は4回にも4四死球をうまく得点につなげ、ノーヒットながら一挙に4点。6-1とリードを広げる。

 苦しい展開となってしまったが、今季後半戦のハーツにはチーム一丸の粘りがある。4回裏、ハーツは1番打者としてボールをよく見ることを意識した久原が2個目の四球で出塁すると、三進し、遊ゴロエラーで生還。なおも二死二三塁で、若手最年長・森〔中〕がセンターへ技ありの一打で、もう1点追加。3-6とし、じわりと相手にプレッシャーをかける。

 そして5回裏、ハーツは二死満塁で、今シーズン首位打者(打率.341)の矢野がバットを豪快に振り抜くと〔中〕、大きなフライが左翼手の頭上を越えていく。これが走者一掃の3点二塁打となり、一気に6-6の同点。入団初年度、最初のヒットが出るまでが非常に難産で、チームメイトから温かな目で?いじられていた選手が、3年目にして打撃開眼。春から秋までシーズンを通して最も安定した打撃で高打率をキープし、打球の力強さも日を追うごとに増してきた。もともとパワーのある小西(3本塁打でホームラン王)も投打二刀流だが、矢野はシャープな打撃で個性を放つ。この試合は2023年度の成績に反映されるため、矢野は早くも3打点をゲット。

 驚異の粘りで同点に追いついたハーツ。この試合、完投を果たした矢野の投球が打線に勢いをつけたのは間違いない。5回表は三者凡退、難しい投手ファウルフライ好捕のおまけ付き〔中〕。矢野はもともとショートなど内野守備も得意とし、やわらかな身のこなしで自らを助けた。6回表も無失点。この回にはレフトの名手・森が左翼線のフライをファインプレーで締め、さらにハーツベンチは好ムードに。

 6回裏、この回先頭の横井〔中〕は、投手の代わり端、追い込まれてから、得意のミートでセンター前。入団3年間で100安打を放ち、チームに誘った最年長・太田がチームメイトからその功績を称賛された過去を持つが、そんな横井も入団10年目(来季は50歳)。4年目からは打撃不振に悩み、歯がゆい自分と対峙する数年間を過ごしてきたが、今季は久しぶりの主要タイトル、打点王(25打点)を僅差(2位・小西選手と2打点差)で獲得し、充実したシーズンとなった。一番の要因は試合数だろう(もし同試合数での勝負だったら、若手に譲っていたに違いない)。今季も全試合に出場し、現在173試合連続出場継続中。ちなみに筒井監督によると、連続試合出場には、既婚部門と未婚部門があり、既婚部門(筒井氏が記録保持者)のほうが圧倒的に価値があるとのこと(あえて記録を塗り替えなかった〔塗り替えたくなかった〕綿貫氏の英断?も過去にあり)。

 ここで打席に入ったのは、参加時には重役出勤(試合が終わる頃にやって来る)が恒例の太田〔中〕。直前の好守で腰を痛めた森の代打として登場した。一見、野球よりも酒(試合後のチーム飲み)を愛しているだけのようにも感じられるだろうが、太田の思考の深さについて、読者のために解説しておこう。人数がそろっている時には遅れ、足りない週には試合開始から涼しい顔をして居るのが太田流。チームの救世主であるとともに、メンバーが多い時の打席の巡りを考え、変幻自在に登場時間を調節する、千両役者の神髄はここにあり。MVP投票でも毎年、票を獲得するだけのことはある。そして近年最大の功績は、矢野を入団させたことであろう。太田派(紹介で入団)の中心は、横井から矢野へ、ここでも世代交代の波がさざめき立っている。うれしい息吹だ。太田は価値ある進塁打で、一死三塁に。

 もし6回裏で時間的に試合終了なら、サヨナラのチャンス。7番・菊池〔左〕の放ったサードゴロで、横井は本塁突入。タイミングは微妙だったが、送球を捕手が前に弾く〔右〕。横井はセーフと思い、ベンチも指摘するが、審判からは死角となっていて、判定はアウト。実際に拾い直してからのタッチと、つま先がホームに触れるタイミングも紙一重。ハーツにとっては悔やまれる判定となったが、ミーティングで積極的な走塁を確認していたことを考慮すると、ゴロゴーの判断は正解か。今後も全員で、一つひとつのプレーを検証・改善していこう。

 二死一塁となり、チャンスがついえたかと思われたが、ランナーに残った菊池が奮闘する。二盗とワイルドピッチで再び、三塁にランナーを置くかたちに。ここでバットを構えるのは、8番・兵藤。今季は宮本〔左〕とともに、監督賞の一つ、最多技能賞(7回)を獲得。シュアな打撃だけでなく、特にシーズン後半は、セカンドで縦横無尽の好守備を連発。“動ける還暦越え”として、ハーツナインも一目を置く存在だ。MVP投票でも9ポイントを獲得し、堂々の5位。物静かで熱い男が放った打球〔右〕は、ライトへ完璧な勝ち越しタイムリー! 5点のビハインドを追いつき、終盤に逆転。痺れる試合展開となったが、これは出場メンバー全員で勝ち得たもの。ベンチ内の盛り上がりと、感動は言うまでもない。
 あと少し時間が残っていたため、7回に突入し、粘るブレット王国も巧打で7-7の同点に追いついたが、7回表一死で時間切れのため試合終了。正式スコアは7-6で南海ハーツが勝利。

 筒井新監督のもとスタートした2022年。夏場には正規メンバー5人で試合に臨まざるを得ないという、かなりのピンチがありながら、この試合に助っ人初参加した辻本〔中〕が、その後、正式メンバーに加わり、菊池、角田の計3選手が南海ハーツの一員となってくれた。

 筒井監督は、その雰囲気から、猪突猛進のイメージを抱きがちだが、私個人の印象は“聴く耳を持つ監督像”。南海ハーツはベテランから若手まで、多くの年齢層の選手が在籍する。20代から70代という幅の広さがこのチームの魅力であり、財産とも言える。必然的に、各選手から多種多様の声が監督のもとに届く。その節目節目で、筒井監督は一人ひとりの意見に耳を傾け、チーム方針の判断材料に取り入れながら進んできたように思う。ミーティングの成果も出始めている。来季に向けて、楽しみは非常に多い。

 今年は4月に兵藤選手、10月に藤本選手、二人の還暦記念試合を行った。記念写真が示すとおり、みんな笑顔。来年は筒井監督(兼選手)、渡部選手の出番。これだけ多くの還暦試合を行えるのも、南海ハーツに25年という伝統があるからこそ。草野球チームとして最も大切な、続けることを実践できるチームメイトに感謝しつつ、2022年から2023年に向けて、また一歩を踏み出していきたい。

文責【6】

2022.12.10

12月10日 新宿ブンブン戦 6-2

2022年12月10日(土)13:00~15:00
砧公園A面(ビジター)
フリーマッチ
【新宿ブンブン vs 南海ハーツ】

B 100 010 0  2
H 222 000 x  6

投:高松〔勝〕-矢野
捕:綿貫-筒井

本塁打:なし
三塁打:なし
二塁打:森(ハ)、横井(ハ)、松平(ブ)

 1 (左)辻本【37】
 2 (捕)綿貫【14】
 3 (中) 森  【 0 】
 4 (指)宮本【19】
 5 (一)藤本【 5 】
 6 (右)角田【 3 】
 7 (投)高松【49】
 8 (二)兵藤【23】
 9 (三)矢野【32】
10(遊)横井【 6 】
11(指)筒井【18】

★ハーツ表彰★
殊勲賞=高松(6回2失点7奪三振の快投。テンポの良さは健在で2回以降は無安打投球)
敢闘賞=横井(4回裏、鋭くセンターへはじき返す二塁打。2番手で登板した好右腕・小松投手からチーム唯一の安打)
敢闘賞=森(先制の中前適時打に2打席目は今季自身初となる長打を記録)
技能賞=宮本(3回裏、沈む球を拾う技あり右前適時打。高松の左犠飛で判断良くホームイン)
技能賞=綿貫(第1打席で基本通りのセンター返し、第2打席で持ち前の流し打ちで2安打)
守備賞=兵藤(二塁守備で抜群のフットワーク! 7回裏、飛球を好捕からの一塁転送でダブルプレーを決める)
山山賞=なし

試合動画

 南海ハーツは砧公園A面で新宿ブンブン(With TEAMシゲルさんから助っ人5人)と対戦。Gリーグでしのぎを削る好敵手相手に先発高松〔中〕が6回を投げ2安打2失点7奪三振の好投で存在感を示した。打線は1、2、3回でそれぞれ2点を挙げ計6得点。相手に主導権を渡さない理想的な試合運びで、2022年度最終戦を勝利で飾り、今シーズン18勝17敗4分で、勝ち越しを決めた。

 2週間前は矢野がGリーグ王者・中野マシンガンズ打線に3失点完投勝利、1週間前の試合では敗れたものの小西が6回無安打投球を展開。勢いづく投手陣の活躍に“大魔神”と称されたベテラン高松が続いた。
 1回表、先頭に内野安打を許し、1死二塁の場面で相手3番松平選手にセンターオーバーの二塁打で先制点を献上も2回以降は無安打ピッチング。3、6回は三者凡退で斬って取るなど持ち前のテンポの良さは健在だった。5回表は2失策が絡み1点を返され、さらに2四球を与え1死満塁の窮地に立たされたが、ここでも冷静さは失わない。2-6で満塁弾を浴びれば同点の場面で、この回3個目の三振(振り逃げ含む)と三ゴロで後続を断った。
 内野の失策以外で外野のフェアゾーンに運ばれたのは先述のセンターオーバー1本のみ。四球は4個与えたものの投球リズムは狂うことなく7奪三振をマーク。バックも捕手綿貫が低目のボールをほぼ逸らさず、満遍なく内野に打たせたゴロ、飛球を二塁・兵藤、三塁・矢野、遊撃・横井がキッチリ処理し援護した。

 一方、打線は1回裏無死一、二塁で、森〔左〕が中前打を放ち同点とすると、なお満塁とし5番藤本〔中〕が中前打で勝ち越し。2回裏は11番筒井〔右〕の右前打と相手の捕逸で2点を追加。

 3回裏には4番宮本〔1左〕の右前適時打。続く藤本の敵失での出塁と角田〔1右〕が中前打で満塁の好機を作ると、高松〔2左〕が左翼へ鋭いライナー。ここで三走・宮本がタッチアップを試みる好判断で6点目のホームへ滑り込み〔2右〕、突き放した。


 宮本の走塁のほかにも、これまでの試合後ミーティングで話した「次の塁を狙う走塁」が随所に見られた。1回裏には先頭の辻本が四球で出塁すると好スタートで二盗に成功。追撃ムードの口火を切ると、この回には綿貫、森も二盗をマークし勝ち越しにつながった。2回裏には矢野、筒井も二盗を決め、いずれもホームイン。中でも筒井は三塁走者となった綿貫の打席で相手の捕逸で生還〔中〕。捕手の後ろのファールゾーンは決して広くはないが、普段からしているホームを狙う1歩目の準備や心掛けが功を奏した。

 一方、惜しくもアウトになってしまったが、2回裏、一塁走者・綿貫が一塁へけん制をされながらも二塁を狙った場面や4回裏、横井が三塁から相手暴投で生還を試みるなど「積極走塁OK」はチーム全体に浸透。アウトを恐れず前向きにチャレンジする姿勢や雰囲気が今後、戦う上でも大きな武器となりそうだ。

 7回表の守りでは無死一、二塁の場面で二塁・兵藤〔中〕がポテンヒットになりそうなフライを好捕。その後、一塁へ転送し飛び出した走者を刺すダブルプレーに取ってみせた。

 攻守で最高のプレーを見せ今年度最終戦を終えたハーツ。「矢野、小西、高松」の三本柱の確立、走塁での積極性は今季の好材料。連勝街道、連敗街道と浮き沈みもあった1年だったが、このような「一丸野球」を来季も存分に発揮していきたい。

文責【0】

2022.12.03

12月03日 恵比寿アタック戦 2-5

2022年12月3日(土)13:00~15:00
松ノ木運動場(ビジター)
フリーマッチ
【恵比寿アタック vs 南海ハーツ】

A 200 003  5
H 000 020  2

投:小西〔負〕
捕:菊池

本塁打:なし
三塁打:なし
二塁打:筒井(ハ)

 1 (三)矢野【32】
 2 (左) 森  【 0 】
 3 (投)小西【29】
 4 (一)筒井【18】
 5 (遊)横井【 6 】
 6 (捕)菊池【 8 】
 7 (指)宮本【19】
 8 (二)兵藤【23】
 9 (右)辻本【37】
10(中)土屋【13】

★ハーツ表彰★
殊勲賞=なし
敢闘賞=小西(驚異の完投ノーヒットピッチング。今季ラスト登板で快投)
敢闘賞=菊池(常に次の塁を狙う攻めの走塁で反撃の口火に)
技能賞=宮本(決断力とスライディング技術で同点のホームイン)
技能賞=辻本(2度の打席でともにセカンドへ巧打)
守備賞=横井(追加点を与えられない場面で本塁補殺)
守備賞=菊池(捕邪飛好捕に、強肩で二盗も刺す)
守備賞=矢野(サードで多くの守備機会を堅実にこなす)
山山賞=なし

試合動画

 久しぶりの対戦となった強豪・恵比寿アタック戦。今年最後の参加となる小西〔中〕が先発のマウンドに。1回表、アタックは四死球で一死二三塁とすると、4番打者のショートゴロの間に三塁ランナーがホームイン。ここで二塁ランナーも止まることなくホームを目指していて、一気に2点を先制。足を絡めたそつのない攻撃で試合を優位に進める。

 反撃したいハーツは1回裏、二死一塁で4番・筒井〔左〕が右中間に目の覚めるような大飛球。悠々の二塁打となるが、一塁走者の森は本塁で憤死〔右〕。三塁コーチャーは回していたが、森は三塁止まりと判断したのか、サードを回る前に一瞬スピードを緩めてしまった。これがなければセーフのタイミングだっただけに、悔やまれる走塁となる。試合後のミーティングでは「まず一塁ランナーが積極的に盗塁し、得点圏の状況を作るべき」との意見も出され、ランナー二塁であれば楽々ホームインの場面であり、常に次の塁を目指す走塁の大切さを全員で確認した。

 先発の小西はなかなか打線の援護がないなか我慢の投球。2回は三者凡退。3回以降も四死球こそ与えるものの、要所で計6奪三振。バッテリーを組んだ菊池も、2回にはファウルフライを好捕〔左〕、4回には二盗を刺す〔右〕など、小西を大いに守り立てた。

 5回表、ハーツは終盤でピンチを迎える。一死三塁で前進守備を敷くと、打球はショートへ。今季は途中から前進守備も積極的に練習してきたハーツ。横井は落ち着いて本塁送球し、タッチアウト〔中〕。ひとつ上の野球を目指し、守備隊形について進言していた小西にとっても嬉しい一場面だった。

 初回以降、追加点を与えなかったハーツに流れは傾き、5回裏は待望の反撃のイニングに。菊池、宮本が連続四球で出塁すると、ダブルスチールを決める。このとき捕手の二塁送球に遊撃手のベースカバーが遅れ、隙を見逃さず菊池がホームイン〔左〕。さらに一死三塁となり、9番・辻本〔中〕のセカンドゴロで、前進守備のなか三塁走者・宮本〔右〕が果敢な走塁と見事なスライディングで、ついに同点。この回ヒットなしながら、足で2点をもぎ取る。まさに“走塁改革”が実った瞬間だった。

 5回の堅守と好走塁で、流れは南海ハーツへ。6回表を抑え、その裏にサヨナラ……そんなシナリオをハーツナインが脳裏に浮かべたとき、野球の神様は試練を与える。無死二塁で3番打者がバッターボックスへ。ショートの横井は三盗をさせないために、二塁ベース付近でランナーを気にしながら、定位置へ動き出し、打球に備える。ここで放たれた打球は、さすがクリーンアップ、強烈な低いライナーだった〔左〕。しかし横井は正面に回り込めたため、捕れると思った。一瞬、捕ってすぐ二塁ランナーにタッチできればダブルプレーも?との思いが頭をよぎったかもしれない。でもそれは捕球してから判断すべきこと。気づいたときには、目の前でワンバウンドしたゴロが見事に股間を抜けていた〔右〕。天国から地獄。試合の流れも、今年積み重ねてきた努力も水の泡となってしまうかのように、無情にも打球は左中間を抜けていく。名手の森(レフト)・土屋(センター)をもってしても間に合わない。与えたくない勝ち越し点が、いとも簡単に恵比寿アタックのもとへ。それでも小西は気持ちを切らさず、横井を責めることもなく、最後まで投げ続けてくれた。この回のアウトはすべて三振。しかし試合巧者のアタックは、さらに足を生かした攻撃で2点を追加。最終回に5-2とリードを広げる。

 もう一度、追いつきたいハーツ打線だったが、時間が迫るなか3点のビハインドは非常に重く、6回裏に得点を挙げることはできず、無念の敗戦。
 チームの団結力を感じた試合であり、劣勢から追い上げる底力も実感した試合。それでも、もう少しで届きそうだった勝利をつかむことはできなかった。特筆すべきは、この日完投の小西が最後まで1本のヒットも許さなかったこと。ノーヒットでありながら、足だけで恵比寿アタックさんは5点を挙げた。いろいろ学びのある一日となった。野球の楽しさ、悔しさ、難しさ、奥深さが複雑に絡み合う、忘れられない試合だった。

文責【6】

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