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週刊ハーツ

2020.03.21

03月21日 コマンドZ戦 6-3

2020年3月21日(土)13:00~15:00
調布市民西町野球場(ビジター)
フリーマッチ
【コマンドZ vs 南海ハーツ】

Z 001 001 1  3
H 100 104 x  6

投:今泉-高松〔勝〕-住吉
捕:綿貫-横井

本塁打:なし
三塁打:なし
二塁打:なし

 1 (投)今泉【63】
 2 (右)福田【 9 】
 3 (中)久原【24】
 4 (捕)綿貫【14】
 5 (左) 森  【 0 】
 6 (一)高松【49】
 7 (三)横井【 6 】
 8 (遊)住吉【51】
 9 (二)兵藤【23】
10(指)矢野※
11(指)石井※
12(指)山口【31】

控え:永山【36】
※は体験参加

★ハーツ表彰★
殊勲賞=久原(黄金の輝き、勝ち越し2点二塁打!どうもありがとう)
敢闘賞=今泉(先発好投にマルチ安打。投手で1番、お見事)
技能賞=綿貫(四番の仕事で2安打3打点。3月7日に、時は戻さない)
守備賞=森(レフト線のフライをダイビングキャッチ)
山山賞=森(超ファインプレーからの2エラー。それも野球だ、悪くないだろう)

動画はコチラ

 駅からは少し歩くが、たどり着くと、そこには豊かな自然が広がる武蔵野の森公園。その一角に、調布市民西町野球場はある。少年野球場や、三鷹市大沢総合グラウンドの球場も隣接し、スポーツをするにはうってつけの場所だ。この地で数年ぶりに対戦できるのが、コマンドZさん。かつて南海ハーツと同じGリーグでしのぎを削っていた盟友だ。懐かしい面々との再会もまた草野球の醍醐味である。

 今週も、時を戻そう…。3月14日の試合は残念ながら雨天中止となってしまった。そのとき参加予定だったのが、矢野藤隆選手と石井怜選手。ハーツ創設メンバー太田稔の紹介で縁ができた、若手の二人である。仕切り直しで調布まで来てくれることになった。

 南海ハーツの先発は今泉投手〔中〕。実は彼自身も久しぶりの野球。1番ピッチャーでの起用は、高松監督の期待の表れでもある。コントロールの安定感はチーム一、丁寧な投球でいきなり2三振を奪い、無失点で上々の滑り出しだ。

 先制したのはハーツ。肩を温め始めたばかりの1番今泉が打席でも奮闘、いきなりライトへクリーンヒット〔中〕。進塁後に内野陣のエラーも絡み、あっという間にホームを踏む。

 続く2回表、ここから派手に、そして静かに“森真平劇場”は開幕していた。宮本、永山、福田、森、久原…と外野の名手がそろうハーツ。その中でも2016年入団の森の外野守備は、当時からチームメイトの厚い信頼を得ていた。
 まず彼の最大の長所は外野からの声出しだ。よく通る声で、一球ごとに内外野に呼び掛ける。特に投手はマウンド上でピンチには孤独な時がある。そんな場面で真平からの一声は大きな勇気を与えるのだ。ハーツではセンターからキャリアをスタートさせた森。ここ数年はさらに若手、久原の台頭もあり、レフトを守るケースが増えたが、守備の安定度は健在だ。
 そして見せ場がやってきた。コマンドZの7番打者が放った打球はレフト線への鋭い当たり〔中〕。これは二塁打コースか、と思った瞬間、森がドンピシャのタイミングでダイビングキャッチ! ビデオの画角切れで、残念ながらここにそのシーンを載せることはできないが、相手ベンチはがっくり、ハーツナインからは「ナイス、レフト!」の声が届く。この日は、ザ・シンペイデーになるはずだった…。

 野球は本当に怖いスポーツである。一瞬にして、流れは変わる。3回から守備隊形が変わった。名手・森はレフトからサードへ。ここには、高松監督の「内野も経験させよう」という意図がある。この回こそ守備機会はなかったが、真平がボールを呼んだのは4回だった。
 先頭バッターは平凡なサードゴロ、しっかりキャッチした森は一塁へワンバウンド送球〔中〕。草野球で、内野手のワンバン送球は決して悪くない。ファーストミットの届かない悪送球のリスクを避け、捕球しやすいワンバウンドなら合格点なのだ。しかしこの日は運が悪かった。ファーストベースの手前で送球がイレギュラー。打者走者を生かしてしまった。ここは一塁手の横井に非がないとも言い切れない。バウンドを合わせようと、後ろに下がったのが判断ミス。ミットを前に伸ばし、ショートバウンド捕球を試みていたら、アウトにできていただろう。

 野手は守備位置が変わったとき、ファーストタッチを無難に処理できるかどうかで気持ちが全然違う。森の心の声が伝染するかのように、ここから内野陣全体に緊張が加わり、ミスの連鎖が起こる。次打者のショートゴロでもランナーが生き、無死一三塁。野球の神様は意地悪だ。打球はまたしても真平の前に…。今度はボールが手につかない。焦るときはこういうもの。森は両手両足をグラウンドにつけてしまう〔中〕。

 無死満塁。真平の心臓のドキドキは痛いほどわかる。実はこの日の私も初回のサードゴロを送球エラーしている。願うのはこの回無失点。好投の今泉のためにも…。
 ここから森は頑張った。極限の緊張の中で、なんと今度もサードゴロ。今度こそ、素早く処理し、ホームへ送球
〔中〕。しかしその軌道が山なりすぎて、捕手の綿貫は前のめりになりながら拝み捕り。ベンチの願いも包み込むようにキャッチし、ホースアウトで一死満塁。
 その後、左打席に入った男の子(コマンドZの選手のお子さんだろうか)は鋭いスイングで打球を放つ。しかし飛んだところが不運で、投手前。ホーム、ファーストと転送され、まさかのダブルプレーに。

 ハーツにとっては奇跡的に、この回無失点。最後の最後で、野球の神様は森真平に優しかった。1イニングの守備だけで3枚も写真が載ったのは、森が初めてだろう。前例を破った、ある意味パイオニア的な目立ち方で、文句なしの山山賞獲得。長~いワンイニングだった。

ぺこぱの松陰寺さん風に言葉を選ぶなら、
「エラーは、初恋だ…
誰にでもあり、ほろ苦い」 by よこぱ

 時を戻そう。遡ること2週間、今年初の山山賞をこれまた受賞理由多数でゲットした綿貫敬三が、今日の4番。このあたりがハーツらしさ、高松監督の愛情だ。綿貫のすごさは、どんなミスもいっさい引きずらないところ。前回を反省し、なんとしても打たなくちゃ…ではなく、俺の“四番”も悪くないだろう。そして本当に打ってしまう。
 ファウルで粘り、俊足を活かし出塁した久原〔左〕が盗塁でチャンスを広げると、綿貫〔中〕は得意の右打ちで軽々と打点をあげる。しかも貴重な勝ち越し打。文句なしの四番の働きである。プレッシャーとは無縁の男。前回の週刊ハーツで、森が称賛した綿貫のメンタルの強さが顕著に表れた瞬間だった。
 山山賞を受賞した選手が、次の試合で活躍する―この流れを敬三が作ったからには、きっと真平選手も次に打ってくれるでしょう。実は打順もこの日は綿貫の次だった森。彼の名誉のために触れると、打席の感じは悪くない〔右〕。ヒットこそ出なかったものの、レフトとショートへ鋭い打球を放っていた。

 そして、この時点のハーツベンチの思いは、好投の今泉を勝利投手に。必勝リレーで、高松〔左〕がバトンを受ける。強心臓は高松も同じ。危なげない投球で5回表を無失点。
 さあ5回裏には追加点を。一死一二塁で、9番兵藤〔中〕の打球はショートのグラブをかすめ、センターへと抜ける。ここでも森がコーチャーズボックスから話題を提供する。真平の「Go!」という声を聞き、セカンドランナー高松はホームへ。しかしバックホームは予想より速く捕手のミットに。半ば走塁を諦めざるを得ないタイミングで、高松はターンも虚しくタッチアウト〔右〕。
 森曰く「ゴーとは言ったけど、行けという意味ではない」。それを復唱する高松監督の声に、ベンチは爆笑(ビデオに声も残ってました)。まるで禅問答のようなセリフだが、この日の森には、笑いの神が降りているから、真意の深追いは無意味だ。

 こんな南海ハーツ劇場を目の当たりにして、初参加の矢野選手〔左〕と石井選手〔右〕はどうでしたか? 楽しんでいただけたなら幸いです。お二人は大学の同級生で、ハーツの守り神・太田が矢野さんを誘い、彼が石井さんも連れてきてくれた、という流れ。本来なら、初参加メンバーにもっとスポットを当てたいのだが、その他の選手が目立ちすぎです。でも二人は試合後の飲みにも参加してくれて、これはメンバーも嬉しかった。ぜひ馴染んでくださいね。

 なんとかこのまま1点を守りたいハーツ。しかし6回表、コマンドZの8番打者にタイムリー二塁打が出て、2-2の同点に。勝負は終盤までもつれた。
 実はここからが本当の意味でのハーツ祭り。6回裏に、選手一丸でビッグイニングを作る。一死から山口がよ~く見て四球〔左〕を選ぶと、続く今泉が一塁内野安打〔中〕、今年初出場の福田も死球〔右〕で、満塁とチャンスを広げる。

 ここで打席に入るのは、ハーツの若大将・久原平。金髪にして注目を浴びると思ったら、あまりに森選手が持っていってしまうものだから、この一球に懸けていた。守備での球際の強さに加えて、打席での勝負強さも身に付けてきた若手のホープはバット一閃。左中間を抜ける2点タイムリー二塁打〔左〕で、ハーツが勝ち越し。自称バットコントロールの天才・綿貫も続き、渋くライト前ヒット〔右〕でさらに2点を追加。この日最後の攻撃で、ハーツ打線は見事なつながりを見せた。

 あとは守るだけ。ハーツはクローザーに住吉〔中〕を起用。ストレートの速さとともに、スライダーの切れもあり、しっかり抑え、6-3で南海ハーツが2020年初勝利を手にする。

 この流れで勝ち続けていきたい、そう思った矢先に、都内の週末外出自粛要請が出て、3月28日は中止に。現時点では4月4日も中止を決めた。先が全く読めない状況ではあるが、一つひとつの出来事を冷静に見つめ、的確な判断をしながら、また青空の下で野球を楽しむ日々を目指すのも悪くないだろう。

【文責・背番号6】

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